呪月の罪人は檻の中・１０ : ドリームメーカー

呪月の罪人は檻の中・１０

shizuku 2024/03/27 23:41 43 0 0 0

ログインすると、こんなゲームが簡単につくれます！

登録は20秒くらいでできます。

Comment by author

shizuku ーー「少年」の罪と決意の物語。これにて終幕。
※おまけは今月中には投稿します。
何か知りたい情報がございましたら、コメントを下さい。
穴だらけの、だらだら進行なこの物語を全て読んで下さった方に、多大な感謝を。ありがとうございました。

Comments

People who favorite this dream

People who love this dream

People who like this dream

{
  "lines": [
    {
      "c": "layer",
      "p": {
        "no": "0",
        "src": "266",
        "path": "20120818005224_72db3d07.jpg",
        "x": "0",
        "y": "0",
        "effect": "fadeIn"
      }
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【タップでスタート！】今回、ラストに拙い手描きイラストがあります。ご注意下さい。"
    },
    {
      "c": "layer",
      "p": {
        "no": "1",
        "src": "2390",
        "path": "20170331015602_2872f2c2.jpg",
        "x": "0",
        "y": "0",
        "effect": "fadeIn"
      }
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "俺が退院してから数週間後のこと。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "兄がアルバイトを始めた地元の図書館で、ふとある雑誌を手に取った。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "普段なら手に取らない恋愛系のものだったが、なぜ手に取ったのか分からない。時間つぶしのためなのは確かだ。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "そこに書いてあったのだが……なんでもキスする箇所にも意味があるらしい。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "オーストリアの劇作家が、とある劇の台詞の中で使ったのが初めだとか。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "その中でも「額の上なら友情のキス」という部分になぜか目が引かれた。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "記事では他の部位にも意味が書かれていたり、額のところには他に「祝福」とあった。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【友志】(祝福かあ……あいつらしいや)"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "微笑ましいような少し残念なような気持ちになっていると思わず首を傾げてしまう。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【友志】(……あいつって誰のことだ？)"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "俺にそんな経験は無いはずなんだが？"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "戸惑う俺の肩に広い手が置かれ、俺はそれに答えるかのように即座に振り返る。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【友志】「にーちゃん！」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "後ろに立っていた兄は脱色して伸ばし放題だった髪を短く切り揃えて黒に染め、図書館の職員用である抹茶色のエプロンを着ている。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "ーー兄が迷惑をかけた人物や店に謝罪をし終えて数日たった頃。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "昨日の家族会議で、年を越す前にみんなでどこか旅行に行くことになった。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "どこに行くかは父さんが調べておくと約束してくれた。多分今日の夕飯時には教えてくれるだろう。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "それが楽しみで、俺は今日一日浮き足立っていた。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "思わずここ数日ずっと兄の職場に通いつめるぐらいには。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【烈士】「また来たのか。高校生なのに部活とか無いのか？」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【友志】「俺は青空クラブだから」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【烈士】「帰宅部と言え、帰宅部と」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "ちょっとどやって見せたのだが、華麗にスルーされた。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "兄は何冊かの洋書と館内図を手にして、そのままカウンターへと向かった。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "俺もそれに続いて行きカウンター上にある木製のカレンダーを指でもてあそぶ。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【烈士】「壊すなよ……司書さん怒ると怖いんだから」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【友志】「へーい。ていうか、今日寒くね？　にーちゃん肉まん買って買ってー」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【烈士】「だぁもう、終わるまで待ってろ！」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【友志】(……ああ、少しは、進めたんだなあ)"
    },
    {
      "c": "layer",
      "p": {
        "no": "2",
        "src": "20",
        "path": "20120731134117_60f82c3e.jpg",
        "x": "0",
        "y": "0",
        "effect": "fadeIn"
      }
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "俺がひき逃げにあったあの冬の日。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "あの日が何かの分岐点だったのかもしれない。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "入院の所為で授業についていけなくて、隣の奴に話しかけたことが切っ掛けで、クラスに話し相手……もとい友人が出来た。まだ二人だけだけど。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "父さんも母さんも、俺が思っているよりもずっとずっと弱い普通の人間なのだと分かった。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "何よりもこうして兄とまた二人で帰り道を歩けている。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "いや、歩けるようになった。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "そして、一つ見つけたものだってある。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【烈士】「友志は臨床心理士……カウンセラーになりたいのか？　さっき借りてたろ」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【友志】「うん、まあ。なりたいなあって」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【烈士】「そりゃあまたどうして……」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "俺は先ほど借りた本を目の高さまで両手で持ち上げる。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【友志】「——俺は何か深い傷を負った経験なんて無いけどさ」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【友志】「だからこそ、不必要な同情を、共感を持たないで『ただ話を聞くこと』ができるかもしれないじゃん？　こんな俺でも『誰かの味方』にはなれるって、証明してみたい」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【烈士】「……相当大変だけど、頑張れば。けど、『こんな』は今すぐ訂正しろ」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【友志】「いってぇ！にーちゃん絞め技はダメ！！ぎぶぎぶぎぶ」"
    },
    {
      "c": "layer",
      "p": {
        "no": "3",
        "src": "1080",
        "path": "20140512131033_3a318521.jpg",
        "x": "0",
        "y": "0",
        "effect": "fadeIn"
      }
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "———分岐点はあの日で、始まりは病室で目覚めたあの時、ならおしまいはどこだ？"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "きっとこうして家族のぐちゃぐちゃになった糸が解けて、みんなが先に進めた時点でもう、この「一年」の物語は終わりを告げたんだろう。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "ようやくだけど、みんな自分の役割を果たすところまで来れたから。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "でも、俺の物語の結末(おしまい)はまだこない。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "それがいつかなんて、今は気にしている暇もない。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "ただそれは必ず来るものだと覚悟はしている。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "きっとその方が良いんだ。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "ーーーもう瓶(こころ)は空っぽではないのだから。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "・　・　・　・　・"
    },
    {
      "c": "layer",
      "p": {
        "no": "4",
        "src": "266",
        "path": "20120818005224_72db3d07.jpg",
        "x": "0",
        "y": "0",
        "effect": "fadeIn"
      }
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "・　・　・"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "テラスの茂みの中で、魔法使いは自分に寄りかかって眠っている双子の片割れの頭を撫でた。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "完全に気の抜けた少女の寝顔を見ながら、魔法使いは母と呼ばれるにはまだ若々しい笑みを浮かべる。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "そこへ、側近であるリタが足音一つなく現れた。彼女はいつもの日本刀を右手に持ちそっと足下に置いた。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "そして手にしていた皿をテーブルの上に移すと、何か思い出したように魔法使いに話しかける。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【側近のリタ】「……意外でした。主」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "魔法使いにとっては長女も同然であるリタの疑問に、彼女は優しく首を傾げて問いかけた。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【魔法使い】「なにがですか？」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【側近のリタ】「ユーシ殿の兄上……レッシ殿が殴り合いをしてまで友と袖を分かつことです。両親があそこまで心配していたのに、弟の入院の知らせ一つで……そこまで上手く行くものでしょうか？」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【魔法使い】「彼にとっても、血の繋がりは絆であったというだけの話でしょう」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【魔法使い】「なにも全ての人間が、他者を愛せないわけではないと、今のリタなら分かりますよね」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "どこか遠い昔を思い出すような色を瞳に写しながら、魔法使いはリタに微笑んで見せる。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "リタはそれを見てしまうと何も言えず、ため息をついてもう一つ聞きたかったことを尋ねた。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【側近のリタ】「消してしまわれたのですね。ユーシ殿の記憶。彼は魔界と無関係ではないでしょうに」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【魔法使い】「『薔薇の下』で起きたことは秘密ですから。彼の人生に私達は必要ない。もし体験を体が覚えていれば、信念はそのままでしょうが……さて？」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "くすくすと他人事のように笑う主人に閉口し、リタは小さく肩をすくめた。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "ーーー魔法使いは自分の本名をあまり好いていない。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "ーーいっそ憎んでいる。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "それ故に、魔界であったことを「お客様」に忘れさせる呪文には自分の名前を採用していた。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "罪人達の中でも、このことを知っているのは図書館長のクリスティアンと、魔法使いと犬猿の仲である白魔女のみだ。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "リタも長い付き合いではあるが、知っているのは自分の主が本名を嫌っていることと、魔界を訪れた人物の記憶は基本消去するということだけ。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "この先も教えてはもらえないのだろう。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【側近のリタ】「……あれ？　Anだけですか？」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【魔法使い】「Unは図書館に行きましたよー」"
    },
    {
      "c": "layer",
      "p": {
        "no": "6",
        "src": "2390",
        "path": "20170331015602_2872f2c2.jpg",
        "x": "0",
        "y": "0",
        "effect": "fadeIn"
      }
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "その頃、図書館塔では、クリスティアンは一人の来館者に対応していた。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "彼の机の上には、いつものタイプライターの他にタルトが入った白い紙箱が置かれている。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "先ほど狼夫婦が訪ねてきて、ジルが世話になっているからと置いていった代物だ。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "とてもクリスティアン一人では食べれない量である。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "彼は今だけはその存在を無視して、目の前に現れた来館者に釘付けになっていた。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【クリス】「お、一人だけぇ？」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【アン(Un)】「……本、返しに来ただけだから」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "双子の片割れはどうやら斧を持って来ていないらしい。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "クリスティアンは、双子の別行動を珍しがりながら、差し出された本の貸し出しカードに判子を押した。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【アン(Un)】「クリスは何で、判子とかタイプライターだけなの」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【クリス】「んー、ほらぁ、僕ペン握れないからさ。怖くて」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【アン(Un)】「ああ……そっか」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "片割れ改め、Unは納得がいったようでカウンターの前で体育座りをする。居座る気のようだ。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "クリスティアンは何かを読み取り、車椅子でカウンターから出て来た。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【クリス】「どうかしたのかい？」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【アン(Un)】「……何でも無い」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【クリス】「んー……チョコバナナタルト食べる？」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【アン(Un)】「いる。あとで部屋で食べるから、頂戴」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【クリス】「うん！食欲があるなら大丈夫だぁ。……昨日の夕飯はどうしたの？」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【アン(Un)】「吐いた。やっぱり他人と食べるのは無理」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【クリス】「ありゃりゃ」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "どうやら言いたいことはあるが自分からは話しづらいらしい。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "そのことに気がついたクリスは何か企むように優しく微笑む。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "どうやら、あえてカマを掛けてみるようだ。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【クリス】「それでも《同性》の友人と食事できて、よかったね？」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "そう言って、少女の格好をした「少年」の頭を撫でた。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "少年は、双子の弟はいつもなら笑っている口をきゅっと閉じて、クリスの顔を真っ直ぐに見る。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【アン(Un)】「……よくない。アン嘘ついた」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【クリス】「それは、Unくんが吐きたかったの？」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【アン(Un)】「違う。けど、僕とAnでアンだから。アンはユーシに嫌われたくなかったから……だから、嘘ついた」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "クリスは、少年を抱き上げカウンターの上に乗せて、自分よりも目線を高くして再度話しかける。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【クリス】「どんな嘘？」"
    },
    {
      "c": "layer",
      "p": {
        "no": "7",
        "src": "266",
        "path": "20120818005224_72db3d07.jpg",
        "x": "0",
        "y": "0",
        "effect": "fadeIn"
      }
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【アン(Un)】「……おにいちゃんは、死んだんじゃない」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【アン(Un)】「ーーーアンが、殺した」"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "・　・　・"
    },
    {
      "c": "layer",
      "p": {
        "no": "9",
        "src": "2375",
        "path": "20170310143307_3d8c74dc.jpg",
        "x": "0",
        "y": "0",
        "effect": "fadeIn"
      }
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "魔法使いの城の上空で昨晩ちりぢりになっていたあの霧が集まって来ていた。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "しばらくたつと、女性の、白い魔女の顔がほとんど出来上がる。その半透明の状態で彼女は楽しそうに口角を上げた。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【あーあ、終わっちゃった……ちぇ】"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "落ち込んでいる口ぶりではあるが、彼女の口調はどこか明るいままだ。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "【でもいいもん。次は何してあそぼっかな♪】"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "白の霧が魔界に、「魔法使いの世界」に立ち籠める。"
    },
    {
      "c": "layer",
      "p": {
        "no": "9",
        "effect": "fadeOut"
      }
    },
    {
      "c": "layer",
      "p": {
        "no": "8",
        "src": "1366",
        "path": "20150118202953_68e66f4c.jpg",
        "x": "0",
        "y": "0",
        "effect": "fadeIn"
      }
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "・　・　・"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "……血の繋がりは強固でそれが解けることは無い"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "一人の少年はそれを絆と言い、絆をたどって家路を歩いた"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "魔法使いはそれを呪いと言い、縛られながら月を睨んだ"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "側近はそれを臍帯と言い、それを持ってして人を殺した"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "図書館長はそれを無関係と言い、気付いてしまって月から逃げた"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "双子はそれを狂気と言い、従うつもりで斧を握った"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "狼男はそれを忠義と言い、ただ一人のために敵(かたき)を取った"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "一人の女はそれを未来と言い、全てを託して飛び降りた"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "切り裂き魔はそれを父と言い、幻想の中に愛を求めた"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "棺屋はそれを汚れと言い、全て諦め眠りについた"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "白魔女はそれを愛と言い、それが故に他者を傷つけた"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "鸚鵡はそれを法と知り。それでも彼は人を助けた"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "そして意志を奪われた"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "門番長はそれを希望と言い。探し求めたが見つからなかった"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "そして彼女は心を願った"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "————この場所は、そんな彼らのための檻。"
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "・　・　・"
    },
    {
      "c": "layer",
      "p": {
        "no": "10",
        "src": "2389",
        "path": "20170327105900_aed0eeee.jpg",
        "x": "0",
        "y": "0",
        "effect": "fadeIn"
      }
    },
    {
      "c": "msg",
      "p": "呪月の罪人は檻の中・終"
    }
  ]
}